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匠の世界

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明治蔵・杜氏:宿里道夫
■明治蔵・杜氏:宿里 道夫(やどり みちお)

昭和17年生まれ。笠沙町黒瀬出身。薩摩酒造(株)花渡川蒸溜所『明治蔵』の杜氏として蔵子たちとともに焼酎造りに日夜情熱をかたむける。宿里さんの故郷「黒瀬」は、昔から焼酎醸造の技術を伝承した“黒瀬杜氏”と呼ばれる数多くの杜氏を輩出してきたところとして有名。現在では焼酎づくり伝承展示館「杜氏の里」もあり、焼酎づくりの歴史を知ることもできる。

人間の生活がどのように変わろうと、人間そのものが細胞で出来ている以上、味覚はついてまわるものです。本当に旨い昧は、時代に流されるものではありません。これから100年後も、この焼酎が、あまねく世界中で飲まれるための標準品であると確信しています。
杜氏の役割について教えてください。

杜氏は焼酎造りの現場監督ですね。大工の世界で言うと棟梁といったところでしょうか。できあがったもろみの確認や帳簿付けといったデスクワークなんかもします。
杜氏という役割で一番気を使うところは?

脇から見てると簡単そうに見える焼酎づくりも、実は「酒税法」という法律によって厳しく監視されているんです。これも品質を落とさないようにするためなんですが、これが一番神経を使います。「忘失がないか?」「"もろみ"はどういう感じか?」と常に気を張り作業をしている。そんな現場がピリピリしないように"人の和"にも気を使ったりしますね。
焼酎造りの現場はどういう感じですか?

この(焼酎造り職人の)世界では自分から訊かないとまず教えてもらえません。こうしろ、ああしろと指示はしますが、どうしてそうするのかということは、自主的に覚えていかなければならないのです。
杜氏は全体を見ながらその人にあった作業を指示をしていきますが、突然仕事をまかせられたときに出来ないようだと、「今まで何をしていたのか!」ということになるわけです。厳しいようですが大切なことなのです。
宿里さんは“黒瀬杜氏”で名高い黒瀬のご出身で、昔の杜氏の世界もご存知かと思うんですが、杜氏の役割は今と昔でどのように違ってきていますか?

昔は杜氏の集落と言われるところに100人ぐらいの杜氏がいましてね、全体では300名余りいたでしょうか。
僕らが小さかった頃、今は"杜氏の里"とか言われているあの場所でよく花見をしていたんですが、花見の時期になると、他所に散らばっていた蔵子や杜氏たちが自慢の焼酎を持ち帰り、飲み比べやら「去年はどこどこで焼酎を造っていた!」とか情報交換なんかしたりして賑わいを見せたものです。
今は年々、後継者になりえる人材が少なくなってきているのが現状です。今はもう、あの笠沙の杜氏集落と言われていたところにも後継者がいないと聞きます。寂しいですが、それが現状です。
一年の中で一番焼酎造りの現場が忙しいという時期はありますか?

芋焼酎ですから、芋が取れるシーズンの9月半ばから11月はフル操業で製造工場が持てる能力の限界まで製造します。秋風が吹いて涼しくなった頃から冬までが一番忙しいですね。
杜氏として芋焼酎造りで一番こだわってることは?

焼酎造りの現場にも新しい機械が入り、いろいろと工夫ができるようになってきました。そういうことを理解しながらも、「先人から教わってきた技法だけは曲げるものかぁ〜。」と心の中で思っています(笑)。昔からの方法が体に染み付いていますし、何よりこれが一番美味しいお酒のつくり方だと思っています。"伝統"だけにはこだわっていきたいと心から思っているんです。
どの杜氏さんたちも言われますが、「原料が違う、気候も違う」など、様々な条件により、微妙に焼酎の味が左右される中で品質的に良いものを造る事はとても大変なことなんです。一般の人たちが分からないような微妙な味の違いでも、杜氏はできた“もろみ”などを見て、「あ、このもろみはこの前のものとは違うな、じゃ次の製造工程はこうしよう」などといろいろ対処法を探るんです。そして出来上がる焼酎はほぼ平均した品質のものになるんです。微妙な味の調節は寒い時期とか暑い時期とかで少し違いますから、やはり杜氏の勘と経験が大事なんですよね。
芋焼酎の美味しい飲み方を教えてください。

やはりお湯割りでしょう。焼酎とお湯の割合は"6:4"とか"5:5"。これは良く言いますよね。身体にも良い割り方なんじゃないでしょうか?水は自分にあったものを沸かして飲んでください。そのほうが美味しく飲めると思いますよ。温度は少々ぬるめの方がいいですね。熱々のお湯を注いでもあまり美味しくありませんから。
以前にもお客様に同じようなことを聞かれ、こちらもいろいろ尋ねたんです。
『その焼酎はどちらに置いておいたんですか?日陰ですか、日なたですか?』『使っている水は水道の水ですか、井戸の水ですか?』と。
すると、『何でそんなことを訊くんですか?』とおっしゃるので、
『もし、水道の水を使っていたら面倒でも一回湧かしてカルキを抜きもう一度沸かして飲んでください。そしたらまた味が違いますから』って言ったんです(笑)。
水道のカルキはものすごく焼酎の味を左右するんです。同じ水でもだいぶ味が違いますから。
そして『あまり熱いお湯じゃだめですよ』と。そしたらその方も『すごくいいことを聞いた』とおっしゃってくださいました(笑)。
さらに美味しく焼酎を頂きたいという方はやはり「黒ぢょか」で飲むことでしょう。前の日に14、15度に薄めた焼酎を一晩寝かせ、翌日にそれを飲む。これが最も美味しくいただける方法だと言われてます。是非お試しください。
ホームページをご覧になった方にメッセージをお願いします。

作業の現場などは来ていただく時によって見ていただけるところが違ってくるんです。珍しい作業や焼酎製造の体験なんてできる時もあるんですよ。ホームページをご覧頂いたあとは、焼酎の文化・歴史・製法などを体験できる"明治蔵"へ是非お越しください。
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